オーディオ●コスモサウンド真理庵は狭いので、オーディオ装置をいくつも置くことができません。そのような中で選びに選び抜いたオーディオシステムが、コスモサウンドEX-B1です。 一体型のそう大きくないシステムコンポ、正面にはVictorの文字、しかしビクターのサイトに行ってもそれらしい製品がない、謎のオーディオシステム。いったいこれは何? ●まるで楽器のようなシステムコンポ もともとビクターは、スピーカーの振動板に、一般的な紙ではなく木材を使用した「ウッドコーンスピーカー」を開発しており、市販されているビクターの製品にもウッドコーンスピーカーを用いたものがいろいろあります。 もともと楽器は、木でできたもの、木材を多用したものが多くあり、そうした楽器の音の再現にはウッドコーンスピーカーは最適です。反面、量産がしにくく、価格が高くなってしまうというものがあります。 さらにギターやヴァイオリンで音を大きくするための響棒をキャビネット内部と底面に装着しており、これによって、こんな小さなスピーカーからこれだけ充実した音が出るの? とびっくりするような音が出ます。 スピーカーの後ろには(内部なので見えませんが)チェリー材の木製チップを使った吸音材が入ってたり、底には振動を吸収する木製ボードが入っていたりで、音のひずみにつながる余計な振動をおさえ、透明な音を出すことができます。 スピーカーの位置は外側に8度傾き、中心より30ミリ前に出ています。これによって小さな装置でもコンポ以上のステレオ感が出るうえ、部屋のどこで聴いていても遜色がなくなります。 このように、楽器に用いられている工夫をふんだんに取り入れた、これ自体が一個の繊細な楽器といえるようなシステムコンポ、それがこのEX-B1です。 ●対面販売 ところがこのEX-B1は市販されていません。ビクターのサイトにも一切書かれていません。 なんでも、ビクターの技術者がやりたい放題、凝りに凝りまくって一個一個手作りで生産しているらしく、とても量産なんかできないので、コスモサウンドという小さな別会社で売っている。しかも店頭販売は一切せず、イベントなどに特設ブースを設け、実際に音を聞かせて販売する、というやり方しかしていないのです。 価格はなんと298000円。一切値引きナシです。 しかし庵主はこの音を聞いたときにぶっとんだんですね。 展示していたのは東京ビッグサイトのとあるショー、喫茶店・カフェショーだったかしら、ビッグサイトの大展示場ですから音響なんて何も考えてない、倉庫のような場所です。 それなのにびっくりするようないい音なんですね。庵主はぶっとんだと書きましたが、まさに音がぶっとんでるんです。まさにここに演奏者がいるような猛烈にリアルな音、しかも角度を変えて聴いてもちっとも遜色がない、音の減衰が非常に少ないんですね。 このとき庵主は、どこかにいい物件見つけて喫茶店を開業したいとは思っていました。店を開業するとしてもたぶん15坪程度の狭い店だから、コンパクトなオーディオ装置しか置けないな、程度に考えていたんです。もちろんまるきり物件のあてはなく、具体的に何をどう置くかなんてレイアウトの構想はまるきりありません。 しかし、とりあえずこれを買えば、どんな環境でどんな置き方をしても、必ずやいい音を奏でるに違いない、なにしろこんな最悪な環境でこれだけの音が出ているんだもの。 気がついたときには、店を開くあてなんか何もないのに、その場でiPadで指定口座にカネを振り込んでしまっている私がいた…… これだけ庵主をとりこにしたEX-B1の実力を、ぜひ真理庵にいらして味わってくださいませ。 真理庵で主にかけるであろう、少人数の合唱曲なんか、一人一人の息づかいや、体の動きまでわかっちゃいますよ。 |