シリアル

●シリアル食品とSDA
 コーンフレークの類は庵主も子供のころによく食べていましたが、これらを総称してシリアルというようになったのはいつごろからでしょうか。最初に聞いたときは、直列って何って思いましたが、serialじゃなくcerealでしたね。発音はまるきり同じようですけど。
 コーンフレークの開発者ジョン・ハーヴェイ・ケロッグ氏(1852-1943)はセブンスデー・アドベンチスト教会(SDA。Seventh-day Adventist Church)という、礼拝を日曜日でなく安息日である土曜日にやるユニークな教会の信者で、かつこの教会のサナトリウムの館長をしていた医学博士。さまざまな健康器具や健康療法を生み出しました。その中には今ではトンデモとされるものも多いのですが、さまざまな形で現在にも残っています。コーンフレークはもとは性欲を抑える禁欲主義的な食品として開発されたのですが、もちろん、トンデモ科学で開発された実際のコーンフレークにそういう禁欲の性能があるわけではありません。しかし、今では心理学としてはトンデモ科学と認定されているフロイトの学説が20世紀の文化に多大な影響を与えたように、ケガの功名というのはあるのです。コーンフレークは、ケロッグ氏本来の意図とは無関係に、健康食品として生き残ったのです。
 ちなみにケロッグ氏の所属していたセブンスデー・アドベンチスト教会は、菜食主義を奨励するなど、健康志向が強く、健康食品製造企業も持っています。日本では三育フーズがそれです。コーンフレークはやっていませんが、次に述べる、そして真理庵でも用いているグラノーラを二種類製造しています。

●グラノーラ
 コーンフレークの成功によってさまざまな穀物を原料とした乾燥食品がシリアル食品として開発されました。えんばく(ロールドオーツ)に麦、玄米などの穀物を加えて、ハチミツや植物油を混ぜてオーブンでかりかりに焼き上げたもの。ナッツが入ることが多く、さらにはドライフルーツなどをまぜたりもします。
 もともとは別の食品をグラノーラと呼んでいたらしいのですが、現在の形になったのは1960年代、アメリカのヒッピーたちによって自然回帰、健康志向の食品として人気を得ました。近年の日本ではダイエット食品として人気が出ています。
 グラノーラは日持ちもしますが、手作りでオーブンで焼いたものがおいしいということで、人気店では生産が追いつかず、某店などでは「通販は1ヶ月以上お待たせしております」などと書いてあるほどです。そんなふうに安定供給できないようでは、いくらいいものでもお出しできません。一方で、大手メーカーの製品を使うのもしゃくです。手作り店と大手の中をとり、シリアルならSDAだろうというので、真理庵では三育フーズの製品を使うことにしました。

●ドライフルーツ
 グラノーラはそのまま食べてもいいのですが、コーンフレークのように牛乳をかけるのが一般的。さらにはヨーグルトも相性がいいです。
 真理庵ではドライフルーツヨーグルト(→お茶うけ)をデザートとして提供しておりますが、これにオプション(100円追加)でグラノーラを入れることができますので、そのような形でお召し上がりになるといいでしょう。