炊き込みご飯

●日本人はまだまだ米を知らない
 その昔は米が税金だったり武士の給与だったりしたほどで、日本人にとって米は特別な感情のこもった穀物ですが、はっきり言って日本人はまだまだ米を知りません。私たちが食べている丸っこいジャポニカ米以外に、タイ米に代表される細長いインディカ米というのがあるのをご存知ですか?
 そんなの知ってるよ。平成3年(1991年)の「平成の米騒動」のときに無理矢理買わされたけど、まずくて食えたもんじゃない。
 そう思っているあなた、あなたはまだ米を知りません。インディカ米がジャポニカ米と違うということを理解していません。だから平気で炊飯器で炊いたりしたんじゃありませんか。日本の米と同じような食べ方をしようとしたんじゃありませんか。お役人だって、米が不足したから米ならなんでもいいと、タイから米を輸入して抱き合わせたんじゃありませんか。
 平成の米騒動については、平成コメ凶作とタイ米騒動平成タイ米騒動をご覧ください。あのとき、日本人は大変な罪を犯したのです。米への無知のせいで、タイ米を正しく取り扱うことをせず、食べられなくて道端に捨てたりまでした。しかしそのとき、タイも米不足だったのです。そんな中で最高級の米を輸出してくれていたというのに。
 今ではタイ米はネットなどで買えるようになりましたが、コシヒカリよりも高い値段で売られています。しかし、真理庵ではこのときの贖罪として、あえてタイ米を用います。
 なあに、実はこのときに庵主はタイ米のおいしさに目覚めたから使いたいってだけですけどね。

●タイ米の食べ方・1(ゆでる)
 簡単です。炊くのではなくゆでるのです。パスタと同じです。
 たっぷりのお湯で10~12分ゆでて、余ったお湯を捨てます。このままだと湯が捨てきれずにべちゃべちゃしているので数分そのままおいとくと、お湯が湯気になって消えてくれてなじみます。お急ぎの方はから煎りしてもいいでしょう。
 まとまりが少々悪いので、洋食のライスのように平たい皿や底の浅い皿に盛って、スプーンで食してください。
 ものの15分くらいで食べられるんですよ。ジャポニカ米を炊飯器で炊くより早いし、一人暮らしの場合は炊飯器で炊いて保温してもなかなか食べきれなかったりするので、毎回毎回15分かけて炊きたてならぬ茹でたてを食べられるタイ米のほうが便利です。
 ジャポニカ米でやるなら、5分ほど茹で時間をプラスするといいでしょう。ゆで加減を見て、少々アルデンテな(芯が残ってる)ほうがおいしくなります。特にピラフなどにするにはそうです。

●タイ米の食べ方・2(炒めてからゆでる)
 また、最初にオリーブ油などの油で炒めるという手があります。えっ、固いままのお米を炒めるなんて信じられないですか? 実は洋食屋では一般的に行なわれているんですよ。
 庵主の通った料理学校では、最初にフライパンで米(ジャポニカ米です)を炒め、それから米と同量の水を入れて、煮立ったらそのままオーブンに入れて15分、というのが標準的な炊き方でした。実はこれはタイ米の調理法を応用したものと思われます。
 米を炒めると透明だった色が白く不透明になります。適当に炒めたら水をいい加減にたっぷり加えて、沸騰するまでの時間を含めて10~12分っていうところかしら。単にゆでるより油のおかげでぱさぱさ感がなくなります。

●タイ米の食べ方・3(ゆで汁に味をつける)
 さらに、単なる水ではなくダシなりスープなりでゆでると、その味になります。真理庵ではめんつゆを薄めております。めんつゆによって分量が異なりますが、真理庵で使っているめんつゆならば、つゆ:水=1:9というところです。このあたりは味加減をみてください。基本的にゆで汁の味がそのままご飯の味になりますが、よくわからなければ薄めにしておいたほうがいいです。薄味のものは塩をふれば食べられますがその逆はつらいですから。
 めんつゆのほか、サフランを入れればサフランライスに、ウコンを入れればターメリックライスになります。

●いったん冷まそう
 こうして作っているのが真理庵の炊き込みご飯です。炊いておらずゆでているので「炊き込み」はおかしいですが、焼いてないのに焼きそばだのチャーシュー(叉焼)だのというようなものでお許しください。
 さて、真理庵ではいったん作ったあと、わざと完全に冷ましております。そして炊飯器の保温機能でゆるやかに温め、適度な温度になったらお出ししております。冷ますことで水分がとぶばかりか、味がしみてよくなじむのです。何でもかんでも作りたてがおいしいわけではないのです。

●乾物を食べよう
 具材は主に乾物です。乾物はもどすのが大変なのでおっくうだと思っている人はいませんか。なあに、乾いたまま煮物に投入すればすぐに食べられます。乾物の中には製造過程でアンモニア処理をしていてそういうニオイがするものがありますが、最近ではそういうのは減っているので、そういうことさえなければそのまま煮ちゃえば簡単です。乾物は腐らない便利な保存食材として手軽に使いましょう。

●ドライカレーもやってます
 やはりタイ米はドライカレーやピラフなど炒め料理に最適です。真理庵ではドライカレーを作っています。カレーはけっこう塩を入れなければおいしくないので、具材を除けば上記の炊き込みご飯と同じようにめんつゆで炊いて(というより茹でて)から炒めるといいです。